唇裂外鼻治療、唇裂手術、唇裂修正手術
@京大病院
京都大学医学部附属病院で私が唇裂外鼻治療、唇裂手術、唇裂修正手術
を行った患者さんの症例写真になります。治療についても解説してます。
変形外鼻手術(他院修正): 鼻中隔延長(肋軟骨)、鼻孔縁下降(耳介皮膚軟骨)
数年前に、Wegener肉芽種という炎症性疾患によって鞍鼻(鼻が低くなる)と右鼻孔が上に吊り上がった状態になり、某大学病院形成外科にて治療を受けたそうですが、改善しないため受診されました。
お話しをお聞きするとwegener肉芽種の中でも炎症の部位が特殊だったみたいで、炎症によって生じた拘縮が原因で鞍鼻と鼻孔の吊り上がりを生じたようです。状態の評価と診断がキチンとできないと治療の方向性が間違ってしまうので、今回の治療でも一番大切なプロセスです。
病名だけでなく、患者さんからお話しをよく聞くという基本はやっぱり大事ですね!
さて、正しい方向性を出したところで、おつぎはそれを実現する手術手技の選択です。今回は加工した肋軟骨を鼻中隔軟骨の代わりにすることで、鞍鼻の改善と鼻尖位置を下に下げました。鼻孔については耳の皮膚と軟骨を移植(composite graft)して下降させて左右差を修正してますが、美容での鼻孔縁下降とは違う方法にしてます。
ウンチクは良いとして、結果を見て頂ければ良い治療が出来ていることがわかると思います。
高度な鼻の変形を出来るだけ審美的に改善しようとすると、かなりチャレンジングです。
この方の治療もそうでしたが、キチンと良い結果が出て喜んでいただけると嬉しいですね。
右鼻孔の吊り上がりや鼻先の位置が改善されています。鼻筋もまっすぐになりました。
右鼻孔の見え方が改善しています。
横からのプロファイルも綺麗です。
横からのプロファイルも綺麗です。
唇裂鼻手術: シリコンプロテーゼ抜去、鼻中隔軟骨形成、鼻尖形成、鼻柱形成、鼻孔形成、貴族手術、鼻背肋軟骨細片移植、左鼻翼縮小(鼻内法)、真皮脂肪移植
昔入れられたシリコンインプラントが鼻先の少し上で浮いていること、左鼻翼基部の陥凹感などを認めました。
手術コンセプトはズハリ! 『自然なバランス』
インプラントの先端は鼻先の少し上に位置しており、そこが浮き上がることで皮膚を前方に押し上げ、その部分の皮膚はかなり薄くなってしまってました。実際に皮膚はほぼ常に赤みがあり、露出の黄色信号という感じでした。またインプラント自体の厚みも結構あり、鼻根が少し高すぎ、鼻尖は若干低い状態でした。また左上顎骨の低形成があるため左鼻翼基部の陥凹感が強く、そこが一番気になるということでした。
手術としては鼻中隔付け替えと補強をした上で鼻中隔延長術を行い鼻尖の高さを調整しました。また、インプラント抜去し、薄くなった皮膚を真皮脂肪で補強した上で肋軟骨細片で鼻背の高さを調整しました。
両側ともしてますが、特に左側には多めに貴族手術をすることで陥凹感が改善しました。側貌にもかなり良い影響を与えていることがわかります。
鼻中隔湾曲とそれに伴う、鼻詰まりの症状がおありでしたので(唇裂患者さんではかなり多い)、耳鼻科の先生に同時に鼻閉改善の手術をして頂きました。
唇裂外鼻手術では、土台である骨の変形からアプローチして鼻背の皮膚の厚みを考慮した鼻背の調整、最後には鼻孔形態を細かく調整する必要がありますので、かなり細かく高度な技術が必要となります。
横からのプロファイルが綺麗になられました。
細かいですけど、正面から見た際の左鼻孔も少し上に上げて左右差を整えてます。
鼻柱の傾斜が改善し鼻孔の左右差もかなり改善しました。
鼻根を低くして、鼻尖を上げることで横顔のプロファイルも改善しました。
鼻根を低くして、鼻尖を上げることで横顔のプロファイルも改善しました。
バランスが良くなられましたね。
バランスが良くなられましたね。
唇裂鼻手術: 鼻中隔軟骨形成、鼻尖形成、鼻柱形成、鼻孔形成
元々かなり整ったお顔立ちをされてますが、鼻の穴の左右差が一番気になるとのことでした。
鼻の穴の修正くらいなら皮膚を少し切って、、、と考えるかもしれないですが、鼻中隔湾曲による鼻柱の傾斜を矯正しないことにはしっかりとした改善は得られません。
ということで鼻中隔の付け直して真ん中に立て直し、少し高さを出しながら鼻の穴を上に引き上げてます。
横からのプロファイルも改善しましたね。
鼻尖を出すことで鼻柱基部(唇と鼻の境目)も前方に出て立体感が改善してます。これくらいの移動量なら猫貴族はいらないです。
また、左側の鼻の穴は術後に凹んだ形になりやすいのでrim graftで整えています。
傾斜した鼻柱も真っ直ぐになり、鼻孔も上がり、左右差はかなり改善してます。
鼻尖が上がることで横顔のプロファイルも改善しました。
鼻尖が上がることで横顔のプロファイルも改善しました。
唇裂鼻手術: 鼻骨骨切、鼻中隔軟骨形成、鼻尖形成、鼻柱形成、ACR改善
幼少期に鼻の手術を受けておられ、それに伴う皮下瘢痕や鼻柱のわずかな変形などを認めます。
鼻修正の場合、鼻だけでなくお顔全体を見る必要があります。下アゴやオデコとのバランスを考えると中顔面の立体感が不足していたため、鼻翼基部へのボリューム付加(貴族手術)や上口唇の脂肪注入でバランスを改善しました。
鼻先の向きやかたちは鼻中隔延長などを用いて整えました。
元々キレイなお顔立ちですけど、全体のバランスが改善することで、よりキレイになられたと思います。
鼻尖の違和感が改善しましたね。正面から見た鼻の穴の左右差も解消しました。
鼻尖の違和感が改善しましたね。正面から見た鼻の穴の左右差も解消しました。
鼻柱を少し下げたので鼻孔の見え方もキレイです。
プロファイルがかなり良くなりました!鼻尖もキレイになりましたね。
鼻柱を下げて、左鼻翼を少しあげたのでバランスが良くなりましたね!
プロファイルがかなり良くなりましたね!
鼻尖が上がることで右鼻翼もスッキリしてます。鼻翼縮小はしてません。
Wegener肉芽腫による鞍鼻変形: ヒアルロン酸注入
鞍鼻(鼻が凹む)変形に対するヒアルロン酸注入のご提案。
皮膚が問題なければヒアルロン酸でもかなり改善が得られます。
Wegener肉芽腫症(多発血管性肉芽腫症)による鞍鼻変形には本来、肋軟骨または腸骨(腰の骨)を使った鼻の再建手術を行います。この治療は保険適応です。
僕自身、多くの患者さんの治療をしてきており、かなり改善できます。
ただ、手術は患者さんの負担も大きいです。今回の患者さんは「手術までは,,,,でも、可能なら良くしたい!」というご意見でした。
ということでヒアルロン酸の出番です。
キチンとした治療をすれば結構良くなりますね。
皮膚が柔らかい状態であれば、凹みの改善とともに上向きの鼻も少し下げることが出来ます。
「患者さんにハッピーになってもらう」という目的のためには、保険診療という枠に囚われるず自費診療で選択肢の幅を広げるのは有効だと思い紹介させて頂きました。
もちろん、しっかりした保険診療での手術も承ってます。
<施術院>
加藤クリニック大阪院
<費用>
ヒアルロン酸 1cc 88,000円(モニター価格)
陥凹が改善しました。鼻先も下に下がってますね!
鼻筋が出来ました。鼻の穴も見えにくくなりました!
鼻筋が通ることで印象がかわりましたね
唇裂鼻手術: 鼻骨骨切、鼻中隔軟骨形成、鼻尖形成、鼻柱形成、ACR改善
片側性の唇裂患者さんでも鼻全体が低い場合は、曲がっていてもわかりにくいことが多いです。この患者さんでも鼻骨の向きと鼻尖の向きは違っていますが術前でははっきりしていません。
このままでももちろん大丈夫ですが、鼻の穴の変形や左右差などを中心に改善を希望されました。そうすると、鼻尖を挙上しながら鼻の穴の形を整えるため鼻尖が持ち上がります。そして鼻尖をスッキリさせると、曲がった感じが急にはっきりしてきてしまいます。ここ大事です! なので、今まで気にならなかったからといって、この「曲がっている状態」を放置すると術後に「曲がっている感」が出てしまいかえって気になることがあります。
なので、プランニングとしては鼻尖を挙上しながら鼻孔形態を整え、全体的に鼻が真っ直ぐになるように内部の鼻中隔湾曲から矯正をかけています。
結局、気になるところだけをピンポイントで修正することはできないのでキチンとした治療をしようと思うと土台からの修正が必須になりますし、それをおろそかにすると後で後悔することになってしまいます。
あとは、幼少期の鼻手術の影響で鼻柱に下記のような3つの変形があります。
- 鼻柱の右側にポコっと出ている部分は鼻の中の軟骨(大鼻翼軟骨)の変形です。
- 鼻柱が細くなってしまっています。
- 細くなるのと同じ原理(詳細は省きます)で鼻柱自体が奥に入ってしまいACR(鼻柱と鼻翼の位置関係)が悪化しています。ACRについては尾翼より鼻柱が少し下の方が良い状態です。
こういった変形を改善するために皮膚切開の仕方、軟骨移植などを工夫しました。この鼻の穴の形を整えるというのは、実際には技術的には結構難しいんです。。。
唇裂患者さんでは幼少期から存在する鼻の穴の形を気にされることが多いと思います。特に下方から見られることが多い男性で気にされることが多い気がします。
どうしても唇裂側である左側の鼻翼が小さいので、左右差は多少残りますがかなり改善出来ていると思います。
全体的にスッキリして、ACR(鼻翼と鼻柱の位置関係)も改善しました。
横から見た際に鼻柱がわずかに見えるようになり、顔貌のわりに華奢だった鼻翼や鼻尖がはっきりすることで男らしい印象に。
鼻柱の変形、鼻柱の太さも改善しました。鼻の穴の形も良くなりました。
唇裂鼻手術: 鼻骨骨切、鼻中隔軟骨形成、鼻尖形成、右鼻翼拡大、左鼻翼縮小、右貴族手術
片側唇裂の患者さんでは軟骨性斜鼻(鼻の下半分)はほぼ必発であり、骨性斜鼻(鼻の上半分)を同時に認めることも多くあります。鼻筋がハッキリしていない方が多く、わずかな斜鼻は見逃されますが、綺麗な鼻にした場合にこの斜鼻が急にハッキリしてきます。
なので、わずかでも斜鼻をキチンと治すことがまず大事です!また、鼻中隔湾曲も必発なのでそこをキチンと治した上で鼻中隔延長などを行います。
この患者さんも鼻骨骨切や鼻中隔軟骨の付け直しなどをしっかり行い、土台をキチンと作った上で鼻中隔延長を行いました。
鼻先を移動する手術として鼻中隔延長術は非常に有効な手段ですが、よく「術後に曲がらないですか?」と聞かれます。土台となる鼻中隔の矯正と補強をキチンと行えていればまず大丈夫です!
最終的に鼻尖の高さなどを軟骨移植で微調整しました。
更に唇裂側の鼻孔縁には陥凹が残ってしまうのでrim graftをします。
ここで皮膚を閉じてかたち確認しながら微調整して仕上げます。
右の鼻翼基部には粉砕した軟骨を注入するいわゆる貴族手術を行なっています。唇裂の患者さんでは持ち上げる力に抵抗する瘢痕などがあるため若干不利ではあります。
最後に右鼻翼が内側に入りすぎていたためZ形成術を応用して外側に引っ張り出しています。左鼻翼については左右差を整えるため少しだけ鼻翼縮小(鼻外法)をしています。
斜鼻や鼻尖の位置がよくなり、中顔面の立体感も出たことで更にお綺麗になられましたね。
幼少期術後の患者さんでは皮下瘢痕などの影響で形が出にくいことが多いですが、非常にスッキリしたお鼻になられましたね。
また、耳鼻科と合同で通鼻手術も行い、鼻閉症状も改善しました。
鼻翼基部の陥凹感が減り、鼻のラインが出ることで全体的にスッキリしましたね。
鼻背をきれい整えると、斜めからのラインが綺麗に出ますね。
側面プロファイルが非常に美しくなられました。いわゆる猫手術はしてません。
鼻尖を出すことで鼻孔形態も綺麗になりました。
鼻背をきれい整えると、斜めからのラインが綺麗に出ますね。
側面プロファイルが非常に美しくなられました。いわゆる猫手術はしてません。
斜鼻も改善され鼻翼の左右差も改善しました。
斜鼻手術: 鼻骨骨切、鼻中隔軟骨形成、鼻尖形成、ハンプ形成
外傷による斜鼻の患者さんです。他院で鼻骨骨折の治療を受けたようですが斜鼻が残ってしまったようです。鼻骨骨折後のいわゆる「くの字型変形」ではなく、軟骨性斜鼻も生じているため治療は非常に難しいです。そのため、何箇所もの形成外科施設で治療できないと言われたということでした。
元々鼻梁が細い方なのでそれを崩さずに形を整えるよう細心の注意を払いながらハンプ形成や鼻尖形成も同時に行いました。鼻中隔軟骨の修正には肋軟骨を使用し、鼻尖形成には鼻中隔軟骨を使用しています。斜鼻の修正はもちろんですが、側面でのプロファイルも非常に綺麗になられたと思います。
鼻骨の中央あたりで屈曲して、そこから下が鼻先まで曲がっていました。術後は綺麗にまっすぐになってます。
鼻先も右に曲がってました。正中に整え、鼻先も綺麗になってます。
ハンプを調整し、鼻先も前に向くことで綺麗なプロファイルです。
鼻背をきれい整えると、斜めからのラインが綺麗に出ますね。
鼻背をきれい整えると、斜めからのラインが綺麗に出ますね。
唇裂鼻手術: 鼻尖形成、斜鼻修正、右鼻翼縮小、隆鼻(粉砕肋軟骨)
左唇裂の患者さんです。
術前の状態でも左右差はそれほど目立ちません。患者さんによっては治療しないという選択をされるかもしれませんね。また、医師によっては治療の必要はないと言われるかもしれません。
今回は鼻孔の左右差や丸い鼻尖などを改善したいというご希望でしたので、それに合わせて治療を行いました。ほぼ美容外科的な治療内容です。
わずかでも左右差を打ち消すには色々と工夫が必要になります。術前の写真ではわかりにくいですが、骨性軟骨性斜鼻があります。カッコいい鼻尖を作った際にはこういったわずかな斜鼻変形が急に目につくようになってしまうから要注意です!
また鼻尖は左が下がるように回転し、鼻孔の高さに左右差がありましたので、その修正もしています。鼻翼の大きさも左右差があるため健側である右側の鼻翼縮小も行いました。
実は赤唇の左右差を解消するために赤唇を全層で結構切除してます。
斜鼻が改善され、鼻尖形成とわずかな隆鼻も効いてスッキリしました。
鼻孔の高さがほぼ左右対称になってます。
赤唇もほぼ左右対称になりました。
鼻翼の形態もスッキリしてます。
鼻翼縮小の傷跡はまだわずかに赤みがありますが、ほとんど目立ちません。
希望されていたツンっとした鼻先になり、少量の隆鼻も効果を発揮してますね。
唇裂修正手術
産まれた時から某大学歯科口腔外科で治療を受けてらっしゃったそうですが、修正希望を申し出ても手術をしてくれないということで私のところにいらっしゃいました。
実際に、改善の余地があるのに医者(歯医者)がそれをしない、または出来ないということでお困りの患者さんが結構いらっしゃいます。本当に困ったものです。このあたりのことは結構思うところがあるんですけど😤、これくらいにしときます。。。
今回の患者さんにおいては
・Vermillion border(赤い唇と白い唇の境界)のズレ
・傷あとの陥凹などで傷あとが見える
・表情を作った際に陥凹や変形が強調される
・白い唇中央部分にも横方向などの傷あとがある
といった問題点が挙げられます。
傷あとだけを綺麗にするなら単純に切開縫合でも良いかもしれないです。しかし、唇のズレについてはしっかり切り直して左側の唇(白い唇)を伸ばす必要があります。また自然な笑顔を手にいれるためには口輪筋という筋肉をしっかりと作り直す必要があります。
真ん中の傷あとについては今回治療していないの変化してませんが、小鼻の付け根の位置を含めて改善してます。
口輪筋の再建をしっかり行うことで、動いた際のかたちが綺麗になりました。
赤い唇自体のズレも解消されてます。
整鼻術(他院修正):ハンプ形成、鼻尖挙上、斜鼻修正
他院で鼻形成手術を受けたけど良くなってないということで、治療を希望されました。斜鼻の修正が第一希望でして、ハンプ形成と鼻尖挙上を行なった患者さんです。
術前はハンプとそれにともなう鼻先の下垂を認めました。鼻先の形などはあまり変えたくない(流行ってるような尖った鼻先にしたくない)とのことでしたので、プロファイルが美しくなるように形成してます。
他院修正手術ですが、日頃行っている幼少期に鼻治療歴のある唇裂患者さんの修正手術に比べる瘢痕の厚みや軟骨の左右差などが少ないため全く問題になりません。
今回は鼻骨の骨切りはせず、突出した鼻骨を削ることと軟骨部分の高さをきれいに落とす手技を使っています。その際に鼻骨形成と軟骨性斜鼻の修正も同時に行います。これはSpare roof techniqueという方法で、日本人のハンプはそこまで大きくないのでほとんどの患者さんにこの手技が適応できるかなと思います。骨切りしないので当然、術後の皮下出血や腫脹などダウンタイムは段違いに少ないです!
鼻尖は鼻背のラインから繋がるように若干高くする必要があったので鼻中隔軟骨を使って形成しています。
手術時間はちょうど2時間半でした。
鼻尖に向けた綺麗なラインが形成されてます。前方に引っ張られるので小鼻もスッキリします。
あまり良い写真ではないですが、、、斜鼻変形は矯正されています。