お鼻の治療
鼻は顔の中心に位置する臓器ですので、その形が顔の印象に与える影響力は非常に大きいです。また、わずかな変化でもその表情に与える影響は大きいため、繊細な手技を駆使して綺麗な「かたち」を作ります。
美容外科においては、自由度が高いがゆえに患者さんにも迷いが生じやすいと思います。ですので、しっかりと患者さんの考える理想と治療の現実を理解し合い、ゴールを共有した上で治療に向かうことが必要です。
口唇裂外鼻変形においては、更にベースとなる上顎骨の状態をやこれまでに行われた鼻形成手術による影響も把握し、正確に診断、評価する必要があります。その上で、美容外科の鼻形成の技術と形成外科の先天異常治療の知識や技術を総動員することで治療が可能となります。
また、整容と機能は両立すべきであり、鼻においては鼻の通りについても同時に診療する必要があります。綺麗だけど、詰まっている鼻というのは、、、ですね。ですので、耳鼻科的な知識も必要であり、耳鼻科とコラボが必要なことも少なくありません。
美容外科治療
患者さんの理想を把握した上で、シンプルで安全な手術方法をご提案します。
最終的な治療方法決定までしっかりとした意思疎通が大切です。
修正手術も可能です。
自費診療
加藤クリニック
唇裂鼻変形治療
胎児期から始まっている鼻中隔湾曲や上顎骨の左右差、鼻軟骨の左右差などにより症状が生じます。
鼻の通りが悪いことが多く、耳鼻科的治療を同時に行うことがオススメです。
保険診療(高額医療の適応となります)
京都大学医学部附属病院
診療の流れ
診察まで
まずは本HPの「お問い合わせ」からご連絡ください。
こちらからメールにてご連絡しますので日程調整し診察日を決めさせて頂きます。
診察
診断や現状の評価が非常に大切になります。
治療の目標やそれに合わせた術式について相談させて頂きます。
検査
鼻の手術においては鼻先や小鼻だけを治療するような場合を除き、CTによる評価が必要不可欠です。また、治療日程が決まりましたら術前の採血などが必要となります。
手術
当日にお越しいただき、手術を行います。術前の食事制限などについては予めご連絡いたします。
術後の診察
術後1週間程度で抜糸をします。術後は基本的に術後2週間、4週間、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月で診察させていただきます。術後1年を経過した後は、お越しいただけるなら1年毎に経過の確認をさせていただきます。
治療対象箇所
鼻の土台
顔の中心を僅かでも前に出すことでお顔の立体感がでます。小鼻の辺りの陥凹感がある場合はその嵩上げも必要になります。
鼻筋
粉砕した軟骨などで鼻筋をつくるとスッキリした感じなります。ただ、土台となる鼻骨に変形がある場合は整える必要があります。斜鼻(鼻が曲がって見える)や広鼻(鼻筋がボヤける)などに対して骨切り矯正が必要となる場合があります。
鼻先
ご自分の鼻軟骨を活かして鼻先をスッキリした形に形成します。高さや位置の調整には鼻中隔軟骨や肋軟骨を使用します。軟骨性斜鼻(鼻骨から鼻先までが曲がって見える)があれば、その矯正も同時に行います。
鼻先の位置の移動距離や方向によりますが、多くは鼻中隔延長術を行います。「鼻中隔延長術は術後に湾曲するのでは?」とよく聞かれますが、軟骨生斜鼻などをきちんと矯正して行えば湾曲することはほとんどありません。
鼻柱
鼻中隔の付け根が変位していることにより、下から見上げた場合に曲がっていることがあります。鼻中隔の付け根の矯正とともに口輪筋の修正が必要な場合があります。
鼻の穴
鼻の穴の左右差は正面から見た左右差と下から見た左右差があります。鼻の穴の形は軟骨だけでなく、表面に被ってくる皮膚の状態にも左右されます。また初回手術での小鼻の位置によっては矯正が難しいこともあります。
小鼻
小鼻縮小は鼻外法、鼻内法がありますが、適応に応じて使い分けます。鼻先を高くする場合は、それだけで小鼻の印象もスッキリしますので、術後の状態を見てからでも遅くないです。
片側唇裂においては、唇裂側の小鼻はどうしても低形成になります。左右差を打ち消すという目的で小鼻縮小を行うこともあります。
具体的な手術解説
唇裂外鼻
左唇裂患者さんに行なった実際の鼻形成手術で解説します。
まず、片側唇裂の患者さんでは軟骨性斜鼻(鼻の下半分)はほぼ必発であり、骨性斜鼻(鼻の上半分)を同時に認めることも多くあります。
この部分をキチンと治すことがまず大事です!
患者さんの状態にもよりますが、骨切りはpreservation法で矯正をします。
次に鼻中隔の前弯(下から鼻を見上げた際の鼻柱の曲がり)を修正し鼻中隔の補強をしっかりすることで初めて鼻中隔延長が可能となります。
唇裂患者さんでは、鼻中隔の上顎骨への付着部先端によって形作られる前鼻棘 (ANS)は大きく変位してるのでこの矯正(骨切りや骨切除)も大事であり、鼻中隔の付け直しも同時に必要です。
鼻先を移動する手術として鼻中隔延長術は非常に有効な手段ですが、よく「術後に曲がらないですか?」と聞かれます。土台となる鼻中隔の矯正と補強をキチンと行えていればまず大丈夫です!
鼻中隔延長して大鼻翼軟骨の形成をしたら軟骨移植(shield graft, cap graftなど)をして鼻先のかたちを整えます。
通常の美容外科鼻形成ではここまでですけど、唇裂鼻形成はまだ終われません。唇裂側の鼻孔縁には陥凹が残ってしまうのでrim graftをします。
ここで皮膚を閉じてかたち確認しながら微調整して仕上げます。
あと、上顎骨の低形成による小鼻の辺りの陥凹感がある場合は軟骨移植をします。唇裂側は梨状孔の低形成が強く、小鼻自体が埋もれるかたちになっていることもあるので、こちらには軟骨ブロックを口腔内から移植します。健側は粉砕した軟骨を注入するいわゆる一般的な貴族手術で対応可能です。
土台となる部分の左右差から調整するため、術中調整が非常に多く、この手術はその積み重ねです。まさにアンバランスにならないよう着実な土台作りが大切ですね。
鼻先が下がり、大鼻翼軟骨の左右差や位置異常により鼻孔の左右差があります。また斜鼻変形を認めます。この場合は骨性軟骨性斜鼻、つまり、鼻骨だけでなく軟骨にも斜鼻を認めます。顎裂に伴う左上顎骨の低形成などにより左鼻翼基部の沈み込みも認めます。
まずは骨切りでベースを整えます。鼻骨の状態にもよりますがpreservatio法での骨切りを行ってます。前鼻棘(ANS)が右鼻孔から出っ張って見えてましたので削ってます。
鼻中隔はANSから外して付け直し、更に脆弱で折れ曲がっていたため補強(batten graft)をしてます。これで鼻中隔延長術が行えます。鼻中隔延長も後戻りしないよう補強します。
鼻先の形を細かく調整します。鼻孔の左右差を解消するためrim graftを行うことが多いです。鼻翼基部のaugmentation、いわゆる貴族手術を行います。唇裂側は程度が強いので肋軟骨のブロックを使います。